からめ節 〜Last Song〜
 
あれからどのくらい。
右胸に針、心臓へつながるカテーテル。
AI、5G、どんなテクノロジーも
本当に大切なものは生み出せない。
いつか失う、その前に。
 
どんな痛みでも奪えない夢。
どんな魔法でも叶わない夢。
 
熱海で出会った神様が言う。
「お前、誰に生かしてもらってるかよう考えた方がいいよ。」
翌日事務所、絵画の中にいらっしゃる。
摩訶不思議な本当の話。
 
「ない」という事が「ある」世界、
カルマについて考えていると鳴るチャイム。
朝倉さやが騒いでいる、なんでも運がついたそうだ。
 
何のために生きる?誰もが余命の時の中。
音楽を未来に作り置き、クラウドより心。
研鑽を積んだ者のみが知る天の空、
分かっているうちは分かっていない。
39歳。大腸から肝臓に再発、 肺に転移した末期がん患者。
 
人生にどれだけ可能性があふれているか。
変わる事は怖い? 挑戦をしない、その先の方が怖い。
たった1人、その背中を押せればいい。
 
絵画に書いていた神様の言葉。
「だいじょうぶ」
 
おい疫神、まだ連れていくな。
余命宣告後、入院の合間のひとり旅。
気付いたら200泊超え。
たとえば1週間前の夕食を覚えていないように、
意思と決意のない日常は忘れていくよ。
心に刻まれる何かを探す。
 
世界の唄者とリモートワーク。
抗がん剤が奪う、34年間積み上げてきた楽器。
指先が痺れる。
 
日本一のヴァイオリニストが言う。
「音楽なんかより命の方が大事だからな。」
どんなカテーテルより心臓に届く、エール。
 
死んでからどのくらい。
入院も副作用も、もう必要ない。
出会った全てに対してどう感じるか。
それはそのまま、どう生きてきたかを表す。
どうか日々を大切にお過ごしください。
 
天の空?特別である必要なんてないよ。
いつか失う、その前に。
2020.7.16 3:41 病院。
 
 
Written by 岩手県民謡 , 朝倉さや , solaya
All Instruments , PV Direct : solaya
 

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